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スクリーン印刷コラム(38)

~おしどり夫婦の様に~

いつも一緒で仲むつまじい夫婦のことを「おしどり夫婦」といいます。
おしどりの夫婦がいつでも寄り添っている様子からできた言葉です。しかし、いつも一緒にいる様子というのは、交尾後、メスが産卵しヒナがかえるまで温めている間の話。ヒナがかえるとオスは旅立つ。他のオスたちと一緒に群れを成して生活し、毎年新たなメスを見つける。別に一生相手を代えないというわけではないのです。

これとスクリーン印刷の関係は?

スクリーン印刷に使用するスキージもインクの溶剤と相性があるのです。
おしどり夫婦の様にスキージとインクの溶剤の仲が良いと、お互いに寄り添ってやがてお互い溶け合ってしまいます。こうなるとスキージは幸せ太りになって、もう印刷どころではなくなってしまいます。スキージと溶剤の仲を裂くことは大変に難しく、どんなことをしても元には戻りません。
それでは、スキージと溶剤の仲が悪かったらどうでしょうか。
人間の場合でも相性の悪い人同士は話もしない、お互い手をつなぐことなんかまっぴらごめんでしょう。
ヒナがかえった後のおしどりの様かもしれません。スキージと溶剤の相性が悪いということも、これと同じでお互い溶け合うことはありません。この場合スキージは何も変化はしません。

どうしてこの様なことが起こるのでしょうか。物質は似た構造の物は混ざりやすいという性質があります。
例えば、水とアルコールは構造が似ているので混ざります。ウイスキーを水で割れるのはこのためです。
また、水と油は構造が似てないので混ざりません。サラダオイルの入ったドレッシングを一生懸命に振っても直ぐ分離するのはこのためです。

スクリーン印刷に良く使用される溶剤の大部分はウレタンゴムと構造が異なるので、ウレタンゴムのスキージで印刷していればスキージが変化することはほとんどありません。ところが、NMP、DMFという溶剤はウレタンゴムの成分に近い構造を持っています。そのためにこれらが含まれているインクを印刷するときにウレタンゴムのスキージを使用すると、ウレタンゴムの中に溶剤が染み込んでしまいます。この場合にはウレタンゴムは使用できません。

スキージの材質を選択する時はインクの溶剤と相性が悪い物を選ぶ必要があります。
スキージと溶剤の関係は「おしどり夫婦」ではダメのようです。
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