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スクリーン印刷コラム(52)

~同じ速さでなくてもいいじゃないか!~

スクリーン印刷の重要な条件に「印刷スピード(スキージの移動速度)」というものがあります。
経験者であれば印刷条件表に必ず「印刷スピード」の項目をあげているかと思います。
当社の製品は手刷印刷機を除く全てに「印刷スピード」を制御する機能を備えています。
最近の全自動機では「印刷スピード」をレシピ登録することが可能となっていて、
例えば製品コードを入力するとその製品に適した「印刷スピード」に自動的にセットされます。
 
さて、「印刷スピード」を設定するとき、どのような点に注意しますか?
「印刷スピード」は生産性に直結するので、製造コストを考えると可能な限り速いほうが良いです。
しかし、「印刷スピード」を速くすると、「版離れ」が悪くなります。
「版離れ」が悪くなると印刷品質に影響します。そのために「印刷スピード」を設定するときには
「版離れ」の状態が一定になるように「印刷スピード」を設定していきます。
 
少し前置きが長くなってしまいましたが、ここから本日の本題に入ります。
「版離れ」に影響するのは?
「版離れ」に影響する条件に、「印刷パターンの面積」「インキの粘度」「版サイズやテンション」
「クリアランス」などがありますが、ここでは「印刷パターンの面積」に注目してみます。
他の条件が同じとして版離れを比べると、例えば「50ミリ角の正方形」と「200ミリ角の正方形」の
印刷パターンでは後者のほうが悪くなります。
これは、スキージとパターンとの接触長さが長いと、ワークに転写されるインキによる
版の吸着力が大きくなるためです。
版離れが悪くなると、版とワークの接触時間が長くなり印刷品質に差がでてしまいます。
印刷スピードをコントロールしたり、レシピ登録するのは「版離れ」の繰り返し精度を良くするためです。
四角形パターンの印刷ではこれで安定した品質の印刷が可能ですが、円形パターンでは事情が違います。
円形パターンではスキージとパターンの接触長さがスキージの移動と共に変化します。
 
そうすると、先に書いたように「版離れ」の状態は刻々と変化します。
スキージ速度が一定の場合、印刷品質がスキージストローク位置により変わってしまう可能性があります。
それなら、「印刷スピード」を変えたら良いではないかという事になります。
 
印刷スピードは、同じ速さでなくてもいいじゃないか!

参考資料 特許第4956007号
ニューロング精密工業株式会社
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