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スクリーン印刷コラム(48)

~にじみのない印刷~

スクリーン印刷をおこなっていて、困った不良として「にじみ」があります。
印刷していると煩瑣(はんさ)パターンが徐々に太くなっていく現象です。
細かいパターンを印刷するときには大変困ってしまいます。
たとえば「電」という漢字のあめかんむりの点々。

電気製品には必ず「電源」があります。
「電」の字を眺めながら何で日本語は「電」なのかと恨めしく思ってしまいます。
英語はいいな「POWER」で・・・

しかし、他の印刷方法ではこんな事は起きにくいのです。
たとえば「ハンコ」などは複雑な文字がにじみなどなく簡単に押印できます。
この違いは何でしょうか。これはスクリーン印刷の特徴である
「厚膜印刷」出来るという性質の裏返しとして背負った宿命みたいなものです。

他の印刷方法では版に最低限の量のインキを付着させ、これを被印刷物に転写して
印刷する方式の為に、転写出来るインキ量が少なく、印刷出来る膜厚が薄くなります。
したがって、インキがパターンよりはみ出る事が少ないのでにじみの発生が少ないです。

これに対して、スクリーン印刷ではスクリーン版の開口部より
インキがスキージによって大量に供給されるために印刷膜厚が厚くなります。
しかし、これが原因となってインキが印刷パターンよりはみ出てにじみになってしまいます。
 
さて、スクリーン印刷でのにじみを防ぐ方法は次の様な事が基本となって行われています。
 
1.版がにじみで汚れないよう、インキが被印刷物に転写後に出来るだけ早く版を被印刷物から離す。
(版離れともいう)
2.版を定期的にクリーニングする。
3.インキの特性を調整する。
 
当社は1.と2.に於いていろんな印刷機を提案して来ました。
しかし、あくまでも対症療法の為に一長一短がありました。
ところが、弊社が数年前に上市したロータリースクリーン印刷機では少し事情が違います。
全くにじみが発生しません。
それどころか、印刷中に故意に版を汚してにじみを発生させても自然ににじみが解消します。
従来の平版では一度にじみが発生すると自然に解消する事は有りません。
この事の原因としては1.の事が良く効いていると考えています。

ロータリースクリーン印刷では、版も印刷テーブルも筒状になっています。
つまり、版とテーブルは常に接触を維持しています。
また、お互い逆方向に回転しながら印刷する為にインキの転写と同時に版と被印刷物が離れます。
平版の様に版離れが遅れる事はありません。
その為に、転写されたインキによって版が汚れる事はありません。

次に、故意に版を汚した場合ですが、付着したインキが
次々に投入されてくる被印刷物に付着して拭き取られていきます。
そして、新たにインキが供給されませんから版に付着した
インキが全て被印刷物により除去されるとにじみは解消します。

にじみの発生しない印刷は、印刷をしていて大変楽です。
後は異物付着のみ確認していれば不良が発生しません。
異物対応は、印刷機周辺の環境対策を行えば
かなりの部分コントロールできるので歩留りを極限まで上げることが可能です。

弊社の六日町工場で印刷実験を行った実績では、
一般空調の雰囲気下に於いて歩留り99%以上の結果が出ています。
同じ物を従来の方法で印刷すると95%位となることからも
大変歩留りの良い印刷方法であることが判ります。

ロータリースクリーン印刷はにじみのないスクリーン印刷法です。
ニューロング精密工業株式会社
〒141-0022
東京都品川区東五反田3丁目21番5号
TEL.03-3473-1155
FAX.03-3473-5055
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