スクリーン印刷コラム(37)

~硬いと軟らかい、どちらがお好き?~

スクリーン印刷はいろんなインクが印刷できることが特徴の一つです。
特にスクリーン印刷では硬いインクが得意です。
さて、「硬いインク」とはどの様なインクでしょうか。これが人によってイメージが異なるのです。

ある時Aさんが、印刷ができないとスクリーン印刷機の前で頭を抱えていました。事情を聴くと、版の上のインクがすぐに乾いてしまって印刷できないとのことでした。
一枚印刷しては版を清掃し、また一枚印刷しては清掃の繰り返しで印刷が進まない状態でした。使用していたインクは銘板印刷に使用されるインクで、一般的に低粘度(10Pa.s以下)で印刷します。この位の粘度はどんな感じかというと、インクの入っている缶を傾けるとインクが直ぐに流れ出るくらいだと思ってください。
印刷職人はこの様なインクを「水の様なインク」とよく言います。

さて、Aさんが印刷していたインクを見ると、硬いインクでとてもインクの缶を傾けて流れる様子はありませんでした。恐らくインクの粘度は50Pa.s以上はありそうでした。そのために印刷でできなかった様です。
そこで、筆者が希釈溶剤を添加してインクを薄めて柔らかくしてしまいました。その姿を見てAさんが大きな声を上げたのです。
「こんなに柔らかくしたら印刷できない!!、水みたいだ!」

筆者はAさんに「これで大丈夫、印刷してみて」と言って印刷してもらいました。結果はもちろん綺麗な印刷ができました。Aさんはその様子をみてビックリしていました。なぜでしょうか。
Aさんの名誉のためにあえて書きますが、Aさんは印刷のベテランです。ただし、導電印刷の・・・・。

実はここに落とし穴がありました。
導電印刷に使うインクは硬いインクが多いのです。どのくらい硬いかというと、インクの缶を逆さまにしても流れないくらいの硬さです。粘度で表すと50~100Pa.s位でしょうか。
Aさんは硬いインクの印刷を得意としていたので、柔らかいインクの経験が無かったのです。

逆のこともあります。銘板インクを主に印刷していた人は硬いインクが苦手です。恐らく、導電インクの印刷をしようとするとインクを薄めてしまうでしょう。
導電インクを薄めると印刷膜厚が薄くなり、導電性が悪くなってしまいます。

あなたは「硬いインク」派ですか、「柔らかいインク」派ですか。
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