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スクリーン印刷コラム

スクリーン印刷コラム

スクリーン印刷コラム(19)

~たかがμmされどμm~


 1μm(マイクロメートル)の長さとはどの程度がわかりますか?
μは1㎜の1/1000。例えば、髪の毛の太さが60~80μm、春になると多くの人を悩ますスギ花粉の大きさが30~40μmと言われています。
このように、μmは非常に小さいというイメージがありますが、スクリーン印刷にとっては重要な単位なんです。

 

 スクリーン印刷に使用する版には、乳剤と呼ばれる樹脂が塗布されています。この乳剤は、印刷パターンを形成させるという役割と、印刷パターンの厚みをコントロールするという役割があります。この乳剤の厚みは、薄い場合で5μm、厚い場合で100μmくらいです。厚いと言っても、髪の毛の太さくらいです。この厚みを、印刷するパターン形状やインクに合わせて、1μm単位で設定します。

 

 1μmの制御!。花粉よりも小さい制御が必要か、疑問に思う方もいらっしゃると思います。しかし、これが重要なのです。

 

 その昔、こんな経験をした事が有ります。
ポリエステルフィルムに導電ペーストで、電気回路を印刷した時の事です。乳剤の厚み15μmの版を使用して、サンプルを10枚作り、あるお客様に提出しました。間もなくして、評価が終わったとの連絡があり、打合せに行きました。
お客様の回答は、「サンプルは良く出来ている。しかし、電気抵抗が少し高い」。
そこで「乳剤厚を倍の30μmにして、導電ペーストの膜厚を厚くして抵抗値を下げます」「すぐ版を作ってサンプルを提出します」と回答しました。

 

 最初にサンプル10個を作った時は、半日程で作製する事が出ました。そこで、お客様に電話を入れ「今日午前中に新しい版が届くので、今日午後サンプルを作って送ります」と話しました。そして、工場へサンプル作りに行くと「今日は忙しいので17時以降でないと印刷機は空いてないよ」との返事。しかし、前回の印刷は一時間程度で終ったので問題ないと思い、夕方からサンプル作りを始めました。
ところが、印刷できない!同じペーストを使用しているのに印刷は擦(かす)れる。ペーストを薄めるとペーストは滲(にじ)む。印刷機の条件を変えても変化なし。こんなことを繰り返しているうちに、ついに夜が明けてしまいました。前は簡単に印刷出来たのに?

 

 ペーストを替え、条件を変え、一睡もせず、やっとサンプルを10個作り、ふらふらになってお客様にお届けしました。
後で色々実験をした結果、乳剤を厚くした事で、ペーストが版を通過出来なくなってしまい、そのために印刷が出来なくなったという事が判りました。たかが15μm乳剤の厚みを変えただけで天国と地獄の差となってしまいました。スクリーン印刷にとって、乳剤の厚み数μmの差が、印刷性の大きな差であることを、身を持って体験した瞬間でした。

 

 スクリーン印刷にとって、たかがμm、されどμmです。
印刷が上手く出来ない時、乳剤の厚みに注目してみてください。


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